信号待ちで車を止めたら、対向車線の道路際に「乳牛のにくの森」と大きく書かれたトラックが止まっているのが見えた。
乳牛だと、ホルスタインあたりか。 まあ高級な肉ではないけど、酒池肉林でも肉の「林」だ。「森」なんてすごいなあ。
そのとき、商品の搬入を終えたらしい運転手が店から出てきた。大きなケースには空っぽのガラス瓶がいっぱい入っている。
あれ?
「おい、信号変わったぞ」 助手席の友人に言われ、慌ててアクセルを踏み込む。流れる文字を横目で進行方向に追うと、謎が解けた。
森の――……なんだあ。
「なあ、今日の晩飯、ファミレスじゃなくて焼肉にしないか?」 「えっ、金無いよ」 「バイキングでいいからさ。安い肉をもりもり食べたい気分なんだ……」
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