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能力者




 趣味でタロット占いをしているうちに、いつしかカードが示すものが読めるようになってきた。
 シャッフルして裏返しのまま並べられたカードに集中すると、ぼんやりと視えてくるのだ。

 過去、現在、未来を示す位置に配置されたカード――その札に描かれた、深遠なる世界が。

「ほら、これは愚者のカード。こっちは皇帝の逆位置。それは運命の輪……」
「ほんとだ……」
「私、占いの才能があったのねっ!」

「んー、でもこれって、ただの透視能力?」