今日はサークル恒例の秋のキャンプ。 みんなでキャンプ場に行き、おやつには焼芋を作ることにした。
ところが、地面に穴を掘ってアルミホイルで包んださつまいもを入れ、枯葉を盛り上げていざ着火――という段になって、誰も火種を持っていないことに気付く。
だが問題はない。
我々は魔法研究会。 炎の呪文などお手の物だ。
会長の招集に応えメンバーが集結。焚き火予定地を囲むようにして、歌うがごとく全員で呪文を詠唱。 最後の一音が消えると同時に、紅蓮の炎が柱となって立ち上った。 地獄の業火が一瞬にして対象物を灼き尽くす!
魔法の炎が消えた後にあるのは、焦土と化した孔のみ。 灰のひとかけらすらも残っておらぬ。
枯葉も、アルミも、芋も。
「…………」 しばらくの沈黙の後、会長が言った。
「一年生、もっかい芋買ってこい。あとマッチかライター」
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