ある日悪魔がやって来て俺に取り憑いた。
「お前、一週間後に死ぬぜ」
やつは邪悪にくつくつと嗤って宣告した。 冗談じゃない。いや、まさか。
死にたくないのと本当かどうか知りたいのとで、知り合いに死神を呼び出してもらって俺の寿命を訊いてみた。 死神は地の底から響くような昏い声で語った。
「そなたは三日後に死ぬ」
家に帰ってそのことを伝えると、悪魔はぷんすか怒りだした。 「なんだと! そんなことをぬかすいんちき野郎はどこのどいつだ!」 死神だと教えてやると、悪魔は「俺様が一週間後と言ったら一週間後だ」とぶつぶつ言いながら出て行った。
その後三日経ち、 さらに一週間経ち、 もう一ヶ月になる。
悪魔は戻ってこず、知り合いは「死神が召喚に応えない」と言う。
ふう、助かった。 |