トップ - もくじ - No.181〜200 - 個別の話192


お薬の飲み合わせ




「いてえ……」

 内蔵が軋むような痛みで目が覚めた。胃の調子がものすごく悪い。
 昨夜の飲み会で焼肉食べ放題&飲み放題三時間コースで暴飲暴食したあげく、シメに激辛キムチ南蛮ラーメンを十倍辛で平らげたのがたたったらしい。

 キリキリ、シクシク、ズキズキが代わる代わるやってくる痛み、もたれ、膨満感、吐き気のフルコースだ。

 とにかく、一時でも早くこの気持ち悪さから開放されたい。

 薬箱をあさると、胃薬が何種類か出てきた。
 正常な判断力を失ったまま、出てきた三種類の胃薬をすべていっぺんに水で流し込む。

 しばらくして――。

 胃薬が胃の中で言い争いを始めた。

「俺に任せろ! H2ブロッカー様が一番強いに決まってるだろうが」
「はっ。化学のバケモノめ。昔ながらの俺たち漢方の力を見るがいいさ」
「両方のいいとこ取りした私たちがなんてったって効果があるわ」
「なんだと!」
「こんちくしょう!」
「なによ!」

 ぎゃあぎゃあわめき散らしながら、くんずほぐれつの取っ組み合いの大喧嘩が胃の中で繰り広げられる。

 うおおおお……気持ちわりい〜。

 薬を何種類も一度に飲むなって聞いたけど、こういうことか……。