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Night's Master




 夜中に散歩していたら、闇の公子に出遭った。

 どきどきしながら話し掛けたら、意外に気さくな御方だった。
 こちらの質問に答えて、いろいろなことを教えてくれた。

 影縛りや暗霧の呪文、闇司祭になる方法、黒ミサの開きかた――。

 そして夜通し説明してくれて、明けがたに授業料を請求された。

 闇の公子ではなく、闇の講師だったらしい。

 しかし知識と引き換えに寿命を削られたので、どちらにしても結果に違いはないようだ……。


<タイトル拝借> タニス・リー 『闇の公子』(原題 『Night's Master』)