この冬一番の寒波がやってきた。午前中からの大雪に降り込められて、会社から家に帰れなくなってしまった。 みんなで溜め息をついていたら、同僚の一人が提案した。
「溜め息を集めて雪雲を吹き飛ばしてみたらどうだろう」
他にすることもない。 みんなで屋上に行って、盛大に溜め息をついた。
陰鬱な湿っぽい風を受けて、雪は土砂降りの雨に変わった。
雪よりは雨のほうがまだましだ。 とりあえず電車が動いて帰ることができた。
だが翌日以降も陰気な雨は毎日降り続けた。
篠突く雨のせいで、通勤靴もスーツも毎日びしょびしょだ。 みんなで溜め息をついていたら、誰かが提案した。
「ぱーっと騒いで楽しくやったら、天の気も晴れるんじゃないか……」
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