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キャンプのこだわり




 学校の友人たちとキャンプに行った。
 ところが散々はしゃいで遊びまくったあげ句、夕食にカレーを作る段になって材料を誰も準備していなかったことに気付く。
 仕方ないので日頃の修行の成果を発揮して、魔法で材料を補填することになった。

 ――木の実をジャガイモに。
 ――葉っぱをすりつぶしてカレー粉に。
 ――沢蟹を豚肉に。
 ――イネ科の雑草の穂を米に。

 物質変換の術なので別に動植物を選ぶ必要はないのだが、まあ生理的な問題というものだ。首尾は上々で、やがて一分の隙もない完璧な「キャンプのカレー」が鍋いっぱいにできあがった。

 だが皆でカレーを取り分け、食べ始めてからしばらくして、一人が突然悲鳴を上げた。
 皿の準備すらしてこなかったため、大きなイタドリの葉に術を施して皿にしていたのだが、術が解けて膝にあつあつカレーをぶちまけてしまったのだ。

 彼の火傷の手当をしたのち、誰もが自分のカレーを疑わしげに見下ろしたのは言うまでもない……。