ある日、寝ていたら、小人の軍隊に襲われる夢を見た。 攻め込んできた小人たちは私を取り囲み、待ち針や爪楊枝でちくちくと刺してきた。追い詰められた私は、仕方なく、溜め込んでいた大事なピーナッツを分けてやった――。 ――ところで目が覚めた。 まったく、不愉快な夢だ。 これから大事な仕事だというのに、寝覚めが悪い。 そして私は鋭く研ぎ上げたバーベキュー用の串を二本腰に差して、決戦の地へと向かった。
ある日、寝ていたら、小人の軍隊に襲われる夢を見た。 攻め込んできた小人たちは私を取り囲み、バーベキュー用の串でぶすぶすと刺してきた。追い詰められた私は、仕方なく、溜め込んでいた大事なチョコボールを分けてやった――。 ――ところで目が覚めた。 まったく、不愉快な夢だ。 これから大事な仕事だというのに、寝覚めが悪い。 そして私は磨き上げたトンカチを二本腰にぶらさげて、決戦の地へと向かった。
ある日、寝ていたら、小人の軍隊に襲われる夢を見た。 攻め込んできた小人たちは私を取り囲み、トンカチでぽかぽかと叩いてきた。追い詰められた私は、仕方なく、溜め込んでいた大事なみかんを分けてやった――。 ――ところで目が覚めた。 まったく、不愉快な夢だ。 これから大事な仕事だというのに、寝覚めが悪い。 そして私は鋭く尖らせた竹槍を二本背負って、決戦の地へと向かった。
ある日、寝ていたら、小人の軍隊に襲われる夢を見た。 攻め込んできた小人たちは私を取り囲み、竹槍でぐさぐさと突いてきた。追い詰められた私は、仕方なく、溜め込んでいた大事なぶどう酒を分けてやった――。 ――ところで目が覚めた。 まったく、不愉快な夢だ。 これから大事な仕事だというのに、寝覚めが悪い。 そして私は頑丈な鉄パイプを二本用意して、決戦の地へと向かった。
ある日、寝ていたら、小人の軍隊に襲われる夢を見た。 攻め込んできた小人たちは私を取り囲み、鉄パイプでがんがんと殴りつけてきた。追い詰められた私は、仕方なく、溜め込んでいた大事な老後の資金を分けてやった――。 ――ところで目が覚めた。
まったく、不愉快な、夢……。
そのとき、ふすまが開いて孫が入ってきた。
「よお、じいちゃん、こづかいくれよ……」
孫が手にした鉄パイプが、窓からの夕陽を受けて鈍くぞろりと光った。
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