フィリフィリ族の作品展示会に行った。 彼らは“大気紡ぎの一族”や“神々の仕立て屋”とも呼ばれ、陽光や雨、雲などから糸を紡いで織り上げた布で洋服を作るのだ。
特に氷を縦糸に、粉雪を横糸に織って作った雪女のドレスは、幻想的な風合いでこの世のものならぬ美しさだ。着れば凍死すると書いてあるにも関わらず、注文が殺到しているのだという。きっと手に入れば、判っているのに着てしまう者が続出するに違いない。 とは言え自分もあまりの素晴らしさに目がくらんで、雲のマフラーを一本購入してしまった。肌触りはふわふわ、通気性も完璧で、羽毛よりも軽い。さすが伝説の種族が誇る工芸品だけのことはある。
でもちっとも暖かくない。
契約書の免責事項に“着用によるいかなる疾病(風邪、肺炎、凍傷他)の責任も負わない”ってあったし……。 冬は使えないな……。
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