(1月某日) 今朝はよく晴れたので、晴れの気配を集めて空き瓶に閉じ込めておいた。じめついた日や眠気が取れない朝にこれを使えば、きりっと冷たい冬の朝がいつでも味わえるというわけだ。
(7月15日)
梅雨の長雨の後で、暑い上に部屋中湿気がこもって不快指数全開だ。今こそあの冷気の出番だ! 満を持して例の瓶を取り出しすと――。
気配はすっかり澱んでしまっていた。
とりあえず蓋を開けてみたが、ほこりっぽい気配が気化したドライアイスのように底に溜まっているだけだ。冬晴れの気配はちっとも立ち昇ってこない。 結局使い物にならず、流しにこぼして捨ててしまった。
他の季節はうまく行くのになあ。 やっぱり冬の天気は変わりやすい。 |