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闇夜ばなし




 新月の晩、飲み屋のカウンターで隣に座ったやつと意気投合して、夜通し飲み明かした。

 私は途中で酔ってペースを落としたが、やつはザルのように底なしに呑み続けた。

 朝方に別れた時は、さすがに千鳥足で去っていったが。
 それにしても凄いやつだった。

 その晩、爪の先のような細い月が、よろよろと昇ってへろへろと西の空に沈んでいった。

 月も二日酔いになるらしい……。