トップ - もくじ - No.41〜60 - 個別の話43
新月の晩、飲み屋のカウンターで隣に座ったやつと意気投合して、夜通し飲み明かした。 私は途中で酔ってペースを落としたが、やつはザルのように底なしに呑み続けた。 朝方に別れた時は、さすがに千鳥足で去っていったが。 それにしても凄いやつだった。 その晩、爪の先のような細い月が、よろよろと昇ってへろへろと西の空に沈んでいった。 月も二日酔いになるらしい……。