トップ - もくじ - No.221〜240 - 個別の話222


風邪薬を求めて




 風邪を引いて最悪に具合が悪い。

 市販の薬や病院の薬では、気休めにしかならない。
 多少高くても、魔法薬ならなんとかなるかもしれないと、近所の魔法薬局に行った。

「あの、風邪用の魔法薬がほしいんですが……」

「このへんかのう」
 店番のおばばは、三本の小瓶を取り出した。

 おっ、やった。
 やっぱりあるんだ。

 どれでもいいからさっそく買おうと財布を出しかけたところに、おばばは続けて言った。

「一番安い緑のが風邪が治った気分になる薬で、赤いのが風邪を不運と引き換える薬で、黄色いのが風邪の寿命を縮める薬じゃ」

「……黄色いのは早く治るってことですか」

「まあそうじゃが。その分活発に活動するで、治るまでに肺炎になるかどうかは運しだいじゃ」

 魔法でも風邪には勝てないか……。