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地震雷火事親父 & 台風




 今年も台風の季節がやってきた。
 いくつかはどうにか被害もなく通り過ぎたが、ある日ついに進路に当たった台風が我が家を直撃した。

 その台風は恐ろしいほどに気圧が低く、例年にない規模と強力さだった。ところ構わず暴風が吹き荒れ、周囲に当たり散らして甚大な被害をもたらす。

 だが上陸してしまったものはしかたない。

 我慢して家にあげてやって、お茶を出したり世間話をするうちに、多少風雨も収まってきた。暴風域がなくなった頃を見計らって、さらに突っ込んだ話題でせっせとゴマをする。
 やがて上機嫌になった台風は、勢力が弱まってだんだんと強風域もしぼんでいった。
 そして最終的には温帯低気圧からそよ風になって、ふいと消えた。

 台風一過。
 雲ひとつない爽やかな青空。

 ああ、やれやれ。めんどくさい。

「二丁目のがみがみおやじ、昨日はお前んちに行ったんだってな」
「うちで三軒めだよ。今年は上陸回数が多いなあ……」