トップ - もくじ - No.141〜160 - 個別の話148


神の記述




 ちょっとした縁があって、神様の一柱と知り合いになった。

 神族の中では比較的若くて(45〜50億歳ぐらいだそうだ)、おしゃべり好きで気さくな性格だ。ちょこちょこうちに遊びに来ては、お茶を楽しんだりするようになった。

 ある日、そんなお茶飲みの最中に、神様が一冊のノートを取り出して見せてくれた。

「実は最近、お話を書くのが趣味でね。見てみるかい?」
「あ、はい。いいですか」
「まあ、お話って言っても冗談の日記みたいなものだけどな」

 神様のうそ日記か。
 どれどれ、比較的最近のやつを見てみるか。

『いつも四つんばいで歩く生物に、ちょっとふざけて二本足で立つ能力を与えてみた。彼らはそれほど喜びはしなかったが、それを見た別の二本足の生物が大喜びしてくれた』

 前のやつ。
『ベースボール山が噴火して、火砕サージがボンバイエの都をまるごと呑み込んでしまった。快楽の都としてずいぶん栄えていたのに、もったいないことをした』

 もっと前のやつ。
『その辺の石を投げて遊んでいたら、うっかり飼育箱にぶつけてしまった。津波やら巻き上がった土砂やらで、飼育箱の環境維持装置が狂って気温ががた落ち。ペットの大きなトカゲたちがみんな死んでいなくなってしまった。まあ凶暴なやつらもいたし、同じのはつまらないから、今度は別のタイプのを育ててみるか……』

 ……うそ日記……?

「でもここのところ、マンネリ化してきてなあ。地震や噴火みたいな天変地異なんか、ありきたりだろ? なんかいいネタないかい? 月が落っこちるとか」

 いや神様。
 これ、もうやめたほうが……。