12月も半ば、そろそろ年賀状のシーズンだ。 今まではすべて手書きで作っていたのだが、そろそろ面倒になってきた。 最近はインターネットで簡単に申し込めるというしなあ。いっそ、外注してしまおうか。
思い立ったが吉日。 さっそくネットでキーワード検索をかけ、一番上にヒットしたサイトで年賀状を申し込むことにした。入力フォームでレイアウトと来年の干支のイラスト、あいさつ文を選び、住所と名前の必要事項を入力。 宛名入力のサービスもあるということで、そちらも利用することにした。 住所録を添付して送り(もちろん個人情報保護法に基づく管理が成され、情報は保護される――ことになっている)、最後に受け取り場所を近所のデパートに選択。 けっこう簡単だ。
数日後、指定したデパートで出来上がった年賀はがきの束を受け取り、料金を支払う。 ざっと見た限りでは大丈夫そうだ。 帰りにそのままポストに投函してしまった。 ようし、年賀状準備、おしまい!
印刷代などが余計にかかったが、年賀状に費やしていた時間を考えたら安いものだ。 便利な世の中になったなあ。
そして正月明け――。
出勤すると同僚が声をかけてきた。 「あけましておめでとう。ねえ、私、正月旅行先教えたっけ?」 「ううん。なんで?」 「だって、元旦に黒川温泉の旅館にあなたから年賀状が来たから……。別にそこまでしなくてもよかったのに」 「え……」
ほかの同僚や友人らに確認すると、やはり、みな帰省先や旅行の宿泊先で元旦に年賀状を受け取ったらしい。 さらに海外のホテルで受け取った者もいた上、東南アジアを旅していたバックパッカーの友人に到っては、前日の晩に適当に転がり込んだ安宿に届いたという。
もちろん、私が例のサイトに送った住所録には、そんなデータは記載されていない。
つまり……これが、最新のインターネット年賀状サービスというわけか。
ほんと、便利な世の中になったなあ。 |