趣味で撮りまくった写真のデータが、いつの間にかずいぶんな量になった。 気がつけばハードディスクがかなり圧迫されてきており、残り容量もいささか心もとない。この際なので、保存とバックアップを兼ねてCDに焼いておくことにした。 さっそく家電量販店に行き、山積みで安売りされていた『用途別CD-Rバラエティパック』を購入する。
ところが家でデータを書き込もうと取り出したときになって、一枚めのCD-Rが言った。
「俺、音楽用」
「え〜、別にいいじゃん」 無視してパソコンにセットしようとすると、CD-Rは脅すように言った。 「音楽以外はうまく書き込めるかどうか判んないぜ。消えちゃうかもよ」 それは困る……。
その下のCD-Rたちに「あんたは?」と次々訊くと、彼らはそれぞれ言った。 「動画にしてよ。動かないとつまんないしー」 「テキスト用。できればビジネス文書で頼む。くだらない日記やへったくそな小説なんか読みたくないからな」 「やっぱ音楽かな」 「あたしは写真でもいいわよ」
そんなこんなで、けっきょくパック二十五枚のうち「写真用」と応えたのは七枚だけだった。
自分の場合、写真以外で特にCDで保存するほどのデータはない。 半分以上は役立たずというわけだ。
やはりセール品はそれなりだなあ。今度からは気をつけないと。
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