トップ - もくじ - No.101〜120 - 個別の話107


我こそは……




 自称魔法使いと知り合いになった。

 それにしても、今どき魔法使いだなんて。
 ちょっとうさんくさいので、「せっかくだから魔法を見せてくれ」と頼んでみた。

 すると彼は炎を出したり、空に浮かび上がったりしてくれた。
 どうやら本物らしい。

 それから少しして、友人の一人と会ったときに彼の話をした。

「いやあ、魔法使いって本当にいるんだなあ」
 だが、友人は鼻を鳴らして、いかにも軽蔑した様子で言った。

「あのな、たとえば俺みたいなまことの魔法使いってのは、人前でみだりに魔法を使ったりしないものなんだ。そいつはえせ魔法使いだよ」

 ええと……。