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現実の壁




 友人を驚かそうとしてびっくり箱を作った。
 なかなかの仕上がりに思えたが、いざ友人が開けたところ、もやのような煙が立ち昇っただけだった。

 どうも、仕込んだびっくりの量が足りなかったらしい。

 世界に満ち溢れる驚異を小さな箱に封じ込めるには、豊かな想像力が要求されるのだ。

 その後、折に触れて何度かチャレンジしたが、いまいちうまく行かない。やはり、想像力を鍛えないと始まらないらしい。

 でも「想像力を養うマニュアル」なんて読んでるうちは、きっと駄目だろうな……。