幸せの青いCDを探して旅に出た。
ありとあらゆるCDをひっくり返してまわったが、銀色に輝く円盤ばかりだ。とうとう目の前が暗くなり、いくつかのCDが黒く見えるまでになった。そのことを友人に話すと、彼は笑って言った。
「馬鹿だなあ。これはプレイステーション用のCDさ。気を落とすなよ。いつかきっと見つかるさ」
そしてまたしばらく探索の旅は続いた。 音楽ショップも中古CD屋もゲーム屋も廻り尽くしたが、やはり見つからない。ある日疲れ果ててふらりと違う店に入った。
「すみません、青いCDを探しているんです……」
「あー、はいはい、これですか?」
パソコンショップの店員は朗らかに言って、特売コーナーから十枚一パックのCDを掴んで持ってきた。 「赤もありますけど、青でよろしいですか?」 震える手でパックを破ってひっくり返す。
ああ……なんてことだ、青い! とうとう見つけたんだ!
感動に打ち震える横で、店員が困ったように言った。 「あの……ちゃんとお買い上げになってから開けてくださいね」
有頂天になって家に戻る途中、友人の家に寄って見せたら「なんだ、CD−Rのことだったの?」と呆れられた。ふん、所詮知る者に知らざる者の苦悩は判らないのだ。
今、ありとあらゆるデータが青いCDに書き込まれている。
幸せだなあ。
うっとりしている横で、遊びに来た友人が頼んでいた新譜CDを差し出して言った。 「ひょっとしてこれもコピーする気? プロテクトかかってるけど……」
to be
continued…… |