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夜に働くもの




 明日までに提出しなければならない企画書を作るのに、どうしても考えがまとまらず行き詰まった。
 夜も更け、そろそろ寝ないと明日起きられない。
 やけくそになって、その辺でうろうろしていた小人たちに「あとは頼む」と押し付けて寝てしまった。

 翌朝、起きると企画書がきちんと完成していた。

 どうせ小人が書いた企画書なんか、却下されて書き直しになるに違いない。違いないが……。
 まあ、時間稼ぎにはなる。
 今さら直す暇もないので、そのまま会社に持っていって提出した。

「いい加減なものを出すな」
 とでも怒られるかと、緊張して待っていると。

 一読した上司は、低く唸って言った。

「すごいじゃないか!」

「え?」
「今日の会議にすぐかけてみよう。いやあ、こんな斬新な発想力がお前にあるとは思わなかったぞ」

 こ、小人に負けた……。