街を歩いていたら、ふと一枚のポスターが目に留まった。
「飲酒運転撲滅キャンペーンか……」 「どうした?」
急に立ち止まった俺に気付いて、友人が戻ってきた。 同じポスターを眺めて言う。
「ふうん。こういうキャンペーンって何するんだろうな」 「飲食店にポスターやチラシを撒いたり、取り締まりを強化したりとか、かなあ」 「なかなか抜本的な対策とは言えないよな」 友人は腕組みして少し考えてから、ポスターの一箇所を指で示した。
「俺が思うに、ここを一文字変えたらいいんじゃないかな。“滅”を“殺”に」
「飲酒運転……撲殺キャンペーン?」
「そうそう。たった一文字だぜ。簡単なもんだ。“飲酒運転者を許すな! 撲殺せよ!”ってな。で、飲食店に金属バットを配るんだ。俺が総理大臣になったら、やってやるんだけどなあ」 「そうか……」 「まあ、その前に政権を奪取しないとどうしようもないけど、な」 「そりゃ、そうだな……」 確かに、そこまでやれば効果はあるのかもしれないが。
ちょっと、心配になった。
次の選挙では、こいつに票を入れるのをやめておいたほうがいいのだろうか……。
|