トップ - もくじ - No.121〜140 - 個別の話140


RPGラプソディ




 最近買ったコンピューターゲームを遊んでいたら、謎が解けずに途中で行き詰まってしまった。
 あれこれ試してみたが、何時間やってもちっとも先に進めない。
 だんだんいらいらしてきて、とうとう悪態をついてコントローラーを放り出した。

「このクソゲーめ!」

 するとゲームの主人公がぐるりと振り向いて文句を言った。

「はあ? こんなところで引っ掛かった下手くそなお前が悪いんだろ? 同じところをぐるぐる歩き回らされる俺の身にもなってみろよ。俺だってもう飽きたよ」
 心底うんざりした様子の口調にむっとして、こちらも言い返す。
「だってこんな謎、ヒントも何もなしで解けるわけないじゃん。攻略本でも買えってのか? 自力で解けないような腐れゲームは、クソゲーっていうんだよ!」

 主人公は馬鹿にした目つきでこちらを見た。

「お前の脳みそのほうが腐ってるんじゃないか? サジタリ村で子供を助けたお礼にもらったゾディアックの剣をライブラ祠に捧げてお告げをもらったらアクエリの泉で祈ってスコーピ峠に行くんだよ。そんなことも判らないのか?」

「……。すいません」

 そんな複雑な情報をどこかでもらったような覚えはないが……。
 とりあえずぶつぶつ言う主人公をなだめて言われた通りにすると、次の土地に進むことができた。
 それからも行き詰まるたびに、彼は振り返ってあれこれと助言をくれた。主人公情報に頼りきりで、なんとかゲームをクリアできた。

 ついに迎えた感動のエンディング。

 エンドロールが出ると、主人公(ヘルプ機能つき)は「お疲れさん。俺も寝るよ」と言い残してセーブデータの奥へと歩み去った。

 でも、いちいち攻略ルートを参照しないと進めないんじゃ、やっぱり駄作だよな……。